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第66回 悲田院(阿弥陀寺)「三躯一佛観音」

田中ひろみの今月の仏像2024.02.11

奈良市のならまちの「阿弥陀寺」の境内にある「悲田院」の観音堂。もともと「悲田院」は、奈良時代に光明皇后が養老7年(723年)に建立したとされる貧しい人などを救う福祉施設。その後、天文元年(1532年)の南都土一揆で興福寺が焼かれ「悲田院」も焼けたので「悲田院」の観音は、南城戸町に移された。明暦2年(1656年)に阿弥陀寺の専阿古上人が「悲田院」を再建し、観音も祀られていたがお堂が老朽化してしまった。それで、「阿弥陀寺」の境内に新しく「悲田院」の御堂を建て、観音も金色に修復され祀られている。「悲田院」の観音像は、左手は西方浄土の阿弥陀様。右手は、東方浄土の薬師如来様になっている「三躯一佛観音」。仏教の宇宙観である三千大千世界を表しているそうだ。今まで見た事がないお姿だ。厨子の内壁には極楽浄土からお迎えがくる「来迎図」と、薬師如来を守護する「十二神将図」が描かれている。脇侍には、不動明王像の毘沙門天像。観光寺院ではないので、普段はお堂の外からしか「三躯一佛観音」は拝めない。奈良市観光協会主催の「路地ぶら ならまち・きたまち」(2024.1/5~2/29の土日のみ)では、お堂の中に入って拝観できる。

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