
岐阜県高山市の清峯寺の円空堂には、大きな円空仏が3体も安置されている。近隣の方が管理されていて、予約すると拝観することができる。清峯寺が山の中腹にあった時期、江戸時代の元禄3(1690)年に円空がこの地に滞在し、ひのき材に一刀彫りしたものと伝えられている。円空が58歳の頃の作とされ、円空は64歳で亡くなったとされるので、円空晩年期の作品だ。3体は、岐阜県指定重要文化財。向かって右から、龍頭観音菩薩、千手観音菩薩、聖観音菩薩。じつは、円空は千手観音菩薩を数体しか彫っていない。しかも、ここの千手観音菩薩は足元にお坊さんか地蔵菩薩のような姿が彫られていてとても珍しい。向かって右の龍頭観音菩薩は、頭の上に大きな龍の頭が乗り、お顔より大きく目立っている。手には、願いを叶えてくれる宝珠を持っている。向かって左の聖観音菩薩は、笑っているようにも見えるが、つり目で怒っているようにも見える。正面で合掌している。体には大きな木の節がある。普通のお像とは違う、円空の彫る独特な特徴的な姿形のお像たちだ。
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