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第79回 栄国寺の「五臓阿弥陀仏」

田中ひろみの今月の仏像2026.04.24

愛知県名古屋・大須にある栄国寺は、大須観音から徒歩約10分に位置する寺院である。江戸時代、この一帯は「千本松原」と呼ばれ、尾張藩の処刑場が置かれていたと伝えられる。また、キリスト教禁制下においては、多くのキリシタンがこの地で処刑されたとも伝承されている。のちに処刑場は移転し、その跡地に、亡くなった人々の冥福を祈る庵が建てられたことが、栄国寺の起こりとされる。そのため寺には、マリア観音や、踏み絵など、隠れキリシタンに関係する資料が伝えられており、「切支丹遺蹟博物館」として公開されている(※見学は事前確認が望ましい)。

 ご本尊は、名古屋最古の三大仏の一体とされる「火伏せ不思議の弥陀」と称される阿弥陀如来像。その本尊とは別に、特異な像として知られるのが「五臓阿弥陀仏」である。片足を踏み下ろしたどこかくつろいだ姿で坐し、穏やかな微笑みをたたえる。わずかに口を開けて歯をのぞかせるその表情から、「歯仏微笑弥陀如来」とも称される。この像の最大の特徴は胎内にある。像内部はくり抜かれており、その中に木製の内臓模型(五臓)が納められている。現在も内臓模型は像内に収められているため、通常は外から見ることはできず、展示された写真などで確認できる。胸部には卍や蓮華の文様も描かれており、信仰と身体観が重なり合う、きわめて異色の阿弥陀像といえる。

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