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第80回 普門寺の不動明王

田中ひろみの今月の仏像2026.06.16

 愛知県豊橋市にある普門寺は、美しい紅葉の名所として知られ、秋には「もみじ祭り」で賑わう古刹。創建は神亀4年(727年)、奈良時代の僧・行基が自ら聖観音像を刻んだことに始まる。その後、嘉応年間(1169~1171年)の焼失を経て源頼朝が復興し、戦国時代の戦火で再び焼失するも今川義元によって再建されるなど歴史の荒波を乗り越えて江戸時代には幕府の厚い保護を受けたという。境内にある収蔵庫には、平安時代に造られた極めて貴重な仏像群が安置されている。国指定重要文化財である釈迦如来坐像、阿弥陀如来坐像、四天王立像に加え、愛知県指定文化財の不動三尊像を合わせた計9体のお像。不動三尊像の中尊である不動明王像(像高163.5cm)は、横に広がり気味の鼻で特徴のあるお顔。寺伝によれば、源頼朝が平家追討の祈祷に際し、自身の身丈に合わせて造立したとされており、その伝承から「頼朝身丈(みたけ)不動」と称されている。右手に携える剣は造立当初のものとされ、歴史的にも美術的にも多面的な魅力を持つ貴重なお像だ。

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