
大阪府茨木市の大門寺に伝わる、秘仏本尊で国指定重要文化財の「聖如意輪観世音菩薩」平安時代後期の作で、樟(くすのき)の一材から像身と岩座を彫り出した、六臂(ろっぴ=六本の腕)の如意輪観音菩薩です。如意輪観音といえば蓮華座(れんげざ)に坐すお姿が一般的ですが、こちらは岩座(いわざ)の上に半跏思惟(はんかしい)の姿で坐しているのが大きな特徴。平安時代の彫像としても非常に貴重な作例です。さらに注目したいのが、六本の腕の表現です。一般的には蓮華を持つことの多い左上の手が、こちらでは掌(てのひら)を前に向け、五本の指を伸ばした姿になっています。こうした手の表現も独特です。
また、宝冠の文様は墨で描かれ、板光背(いたこうはい)も本体に合わせて右に傾くという、実に特徴的なお姿をしています。穏やかで円満な表情も、見る人に深い印象を与えます。普段は非公開の秘仏ですが、2026年夏に東京国立博物館で開催された特別展「空海と真言の名宝」への出陳と、伽藍(がらん)の大改修が一段落したことを記念して、2026年11月2日(月)~11月19日(木)の期間、特別御開帳されます。今回は、本尊と同じく国指定重要文化財である平安時代作の「四天王立像」も、本堂で同時に拝観できます。貴重な秘仏に巡り合えるこの機会に、その美しいお姿をじっくりと拝観したいものです。
田中ひろみの今月の仏像 バックナンバー