奈良市の徳融寺(とくゆうじ)の観音堂には、赤子を胸の前に抱き上げた大変珍しい「子安観音」が祀られている。平安時代の作とされるヒノキの一木造で、像高189㎝のお像。赤ちゃんを抱くのではなく、両手で捧げ持つような珍しいお姿。赤ちゃんは裸で、ぷくぷくして足をバタつかせてかわいい。観音像は、頭の髪の毛を高く結い上げている。神々しい感じで、まるで聖母マリア像のようだ。手先の部分は室町時代の補作であり、元々は子安観音像ではなく聖観音像であったと考えられているそうだ。観音堂には、同じく平安時代の作と伝わる「薬師如来坐像」も祀られている。