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第67回 応現寺の「不空羂索観音像」

田中ひろみの今月の仏像2024.04.10

奈良市東鳴川町の「応現寺」。所有は東鳴川観音講、管理は奈良市。その「応現寺」に祀られている「不空羂索観音菩薩坐像」(重文)。「羂索」という綱を使い、あらゆる生きとし生ける者全てを救済するとされる。毎月第一日曜日のみ、公開される。像高約90cm。額にも目があり、腕が8本。肩に鹿の皮をまとう姿。不空羂索観音は、鹿が神使いの春日大社の第一神である「武甕槌命(たけみかづちのみこと)」が、変化されたお姿でもあるとされる。平安時代後期作で衣の彫りも浅く、穏やかな表情。この像は、興福寺との関係があった「善根寺(現在は廃寺)」に祀られていた像であると伝えられている。そして、南都焼打ちで失われてしまう前の興福寺の南円堂の「不空羂索観音菩薩坐像」を模して造られた像だと考えられているそうだ。とても貴重なお像だ。

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