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第68回 達磨寺の千手観音像

田中ひろみの今月の仏像2024.06.09

奈良「達磨寺」の千手観音坐像(町指定文化財)。室町時代に、院派仏師によって造像されたと考えられている。像高76.5cm。大きな手が4本、中くらいの手が32本、そしてぎっしりとたくさんつまっている小さな手はなんと340本あまりもある。失われた手もあるので、当初は総計500手で千手が表されていたようだ。千手観音は手が千本だけでなく眼も千個あるとされる。千の眼を表す場合、手のひらに墨で書いたり彫り込んだりすることが多い。しかし、この像は手のひらに水晶をはめ込んだ「玉眼」という技法で造られているのが特徴的。手がこんでいる。そして、ほとんどの観音像は蓮の花を表した蓮華座に乗っているが、このお像は岩を表した「岩座」に座っておられるのも珍しい。いろいろ特徴がある、珍しい千手観音像だ。

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