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第61回 立花毘沙門堂の毘沙門天

田中ひろみの今月の仏像2023.04.17

 みちのくには、北を守るということでたくさんの毘沙門像がある。岩手県の北上市の「立花毘沙門堂」にも、平安時代作の国指定重要文化財の毘沙門天像と二天像、そして小像の毘沙門天像と童子像の5体が安置されている。立花毘沙門堂の南側にある国見山という山があり、その国見山一帯に栄えた古代仏教文化の名残りと考えられている。神仏習合のなごりで、お寺なのに神社のようにお堂の前に鳥居や狛犬があり、参拝の際も二礼二拍手一礼する。
 立花毘沙門堂の中心に祀れれる本尊の毘沙門天は、普通は左手に掲げる宝塔が失われている。右手も武器の三叉戟を持っていたと思われるが今は何も持っていない。頭に兜を被り、くりっとした大きな目で、ふくよかな顔。腰をひねり、足元には邪鬼を踏みつけている。全身にうっすら鉈で彫られたような横しまの「鉈彫り」になっている。神木から仏が現れてくる様子を表しているのかもしれない。
 

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